こんにちは、アラフィフ男のたくぞうです。
「男はつらいよ」がはじまった頃に生まれました。
男はつらいよシリーズの48作目「男はつらいよ 寅次郎紅の花」から約24年ぶり!
50周年ということで新作「男はつらいよ お帰り 寅さん」が2019年12月27日に帰って来ました。
実は「男はつらいよ」を見たのは今年が初めて。
私たくぞうもアラフィフ、「男はつらいよ」もアラフィフということで、すっかりはまってしまい、48作をAmazonプライムで約1か月かけてすべて視聴しました。
「男はつらいよ お帰り 寅さん」を見たい!
でも寅さんを見たことがないという方も多いと思います。
見てみようとは思うけど、48作も見るには時間がかかりすぎますよね。
しかも映画の前にTVドラマが26本、さらにNHKで少年時代の寅さん「少年寅次郎」も放送ですから、追いつかない!
でも寅さんに興味が出てきたから映画が見たい!という方のために、ざっくりと「男はつらいよ」について予備知識をあますところなくお伝えしたいと思います。
男はつらいよを見たことがなくても、「男はつらいよ お帰り 寅さん」を120%楽しむことができますよ!
男はつらいよの基本知識
寅さんの名前は姓は車、名は寅次郎で車寅次郎。
東京葛飾区柴又の帝釈天の参道の団子屋「くるまや」で育てられました。
※映画の途中までは「とらや」という店名でしたが、柴又に「とらや」という名で店を出されてしまったため「とらや」はなかったものとなっています。
寅次郎は、「くるまや」の跡取り車平造が、芸者お菊に産ませた子で、お菊は昭和11年の2.29事件の前夜にくるまやの前に、赤ん坊の寅を置いていきます。
のちに生まれる腹違いの妹はさくら。
寅の上に長男の昭一郎もいます。
長男は病弱で、寅が小学生のときに、母光子は癌で、それぞれ死んでしまい、寅次郎は母の葬式後に父親と喧嘩して家出。
その後、父親も死亡。
(※テレビ版では、さくらが中学のときに、酒の無茶のみがたたって他界と説明)
平造の弟である竜造(おいちゃん)と嫁のつね(おばちゃん)がくるまやを継ぎ、さくらを育てます。
なかなか複雑で不運な家庭環境ですが、とにかく、寅次郎は16歳ぐらいで家を出て、テキ屋に弟子入りして、各地を転々としながらヤクザな生き方をするわけです。
※少年寅次郎では13歳で家出。
フーテンの寅と名乗ったりすることもありますが、フーテンとは定職や住所を持たずにフラフラしている人のことを言います。
テキ屋とは、お祭りの屋台というイメージですが、寅さんの場合は 啖呵売(たんかばい) といって、ゴロのいい言葉を並べて、胡散臭いものを、言葉巧みに売りさばく商売です。
さくらは、おいちゃんとおばちゃんと「くるまや」に住んで、大手のOLとして働いていました。
そこに約20年ぶりに寅次郎がフラっと帰ってきます。
そこからが映画「男はつらいよ」の始まりだと思って下さい。
少年寅次郎の誕生日に合わせると、1作目の昭和44年には、寅次郎が33歳でさくらが27歳ということになります。
柴又の団子屋くるまやには、おいちゃん、おばちゃんがいて、さくらも結婚するまで住んでいました。
くるまやの裏には朝日印刷という小さな印刷工場があり、ちょっとした家族づきあいをする関係でもあります。
印刷工場の社長は寅さんにタコというあだ名をつけられて、タコ社長が通り名に。
のちに大人に育ったタコ社長の娘の明美が、33作から何作か出演しますが、演じてるのは美保純です。
印刷工場の工員のひとりが、前田吟が演じる博(ヒロシ)で、1作目でさくらと結婚します。
生まれた子供が、吉岡秀隆演じる満男です。(※実際に吉岡秀隆が満男を演じるのは27作目からです。豆知識ですが、「男はつらいよ」よりも先に「遥かなる山の呼び声」という映画で倍賞千恵子の子供役を演じています。)
つまり満男=男はつらいよの映画の年齢ということなんです。
ちなみに吉岡秀隆は、満男役をするのと同じ年に「北の国から」の純としても活躍しています。
他には帝釈天の御前様(お坊さん)と、寺男の源ちゃん(佐藤蛾次郎)がレギュラーとなります。
テレビ版でおばちゃんをつとめた杉山とく子や、2代目おいちゃんの松村達雄など、回によって役が変わる準々レギュラーのような人も数多くいて、エキストラ的な役で若き日の出川哲郎も何回か出演しています。
マドンナが現れフラれるパターン
1作目は御前様の娘である冬子に恋をします。
冬子には「少年寅次郎」でも一度恋心を抱いているので、2回目の恋といえるかもしれません。
毎日のようにデートを重ねるのですが、冬子は寅を恋愛対象とは考えてなかったようで、婚約者が別にいたことを知って寅次郎は結果的にフラれたことに。
フラれたら旅に出るのが定番です。
2作目も「少年寅次郎」で恋をした散歩先生の娘の夏子に再開して、恋をして仲良くはなるものの、夏子は市民病院のお医者さんと結婚します。
※ちなみに2作目では寅の実の母親お菊(ミヤコ蝶々)に会いに行って再開しています。
こんな恋愛パターンが続くのですが、実は寅さんはフラれてばかりではありません。
まったく相手にされない場合もあれば、好意を持つことで相手を困らせることもあるのですが、好意を持たれる場合もあります。
寅さんがその気なら、結婚できるシチュエーションもあります。
先ほどお亡くなりになった八千草薫さんが、10作目で演じた幼馴染のお千代坊がマドンナのときが最初だったと思いますが、寅さんのプロポーズにOKしているのです。
ただそのプロポーズは、寅さんが下宿人の大学助教授がお千代に惚れているのを知って、代わりに気持ちを伝えたものだったので、まさかの寅さんがマドンナをフルという結果になってしまいましたが、最後まで「とらや」のみんなに「寅ちゃんとなら(結婚しても)いいわ。」と言っていました。
他にも27作目の松坂慶子が演じる芸者のふみさんも、結婚の報告をしに「とらや」を訪ねたので、結果的には寅さんを振ったことになってはいますが、ふみさんの表情や、その後再会したときの涙から、寅さんに結婚を止めて欲しかったのではないかと想像させられます。
46作目にも松坂慶子は別の役で、2回目のマドンナを演じていますが、このときも寅さんに惚れているのは明らかです。
でもなぜか、寅さんは好かれると引いてしまうんです。
松坂慶子演じるふみさんが新世界の安ホテルに、酔っぱらってたずねて来たときも、違う部屋に逃げますし、29作目のいしだあゆみがマドンナのときも、寝ている部屋に入ってくるのですが、寝たふりをして過ごします。
いしだあゆみは積極的に鎌倉のデートに誘ってきますが、一人じゃ行けなくて満男を連れて行ったりと、弱腰になってなってしまうんです。
そしてフラれて涙を流す。
好きな人を手に入れるのではなくて、大切に遠くから見ておきたいのではないかと、のちに満男が劇中で恋人に語る場面があります。
ちなみにその恋人は、泉ちゃんといって後藤久美子が演じています。
泉ちゃんは満男の高校時代の後輩であり初恋の相手で、「男はつらいよ」には5回出演し、最終的には結ばれることを思わせるような感じで終わっています。
もうひとり大事なのが浅丘ルリ子演じるリリーです。
全国の酒場をまわる売れないレコード歌手でしたが、マドンナとしては最多の4回にわたり「男はつらいよ」には欠かせない役になっています。
リリーは明らかに寅さんが好きなのですが、男勝りの性格が邪魔をするのと、寅さんのいつもの好かれたら引いてしまう性格によって、結局結ばれることはありませんでした。
メロン騒動
リリーの回(第15作寅次郎相合傘)でちょっと有名なエピソードがあります。
寅さんとリリーと道中を共にしたパパさんという人が、お土産にメロンを持ってきたのですが、寅さんを人数に入れずに「とらや」のみんなとリリーがメロンを食べていたら、寅さんが帰ってきて拗ねるわけです。
あまりにしつこいので、リリーが啖呵を切って、寅さんが出て行くのですが、寅さん好きの人には、このメロン騒動が好きだという人が多いようです。
寅さんはどんな性格?
ハッキリ言って頭はよくありません。
初期の頃は特にガラも悪いし、さくらに手をあげることもあるぐらいでした。
ちょっとアレかなと思うこともあるぐらい、ダメな人間だったりします。
まだ中学生ぐらいの満男にも「おじさんも反省しろよ」といわれる始末。
でも実は満男はおじさんをバカにしながらも、おじさんを親よりも頼りにしていたりもします。
人の苦しみがわかるところを尊敬しているからです。
寅さんは自分でもダメな人間だということがわかっていて、家出をした満男をどうやって説得するかという話に「”こんな人間になりたくないだろ”といって説得してくるよ」という場面がありましたし、他にも自分をディする場面は多くみられます。
よくわからないですが、「少年寅次郎」を見ていると、女性に対する行動は、亡き育ての母への思いに基づいているような気がします。
本当の息子でないのに、ありったけの愛情を注いでくれた母親。
その母親がいなくなってから、寅さんはずっと迷子になったような感覚で生きているのではないかと思うんです。
もしくは、女性にだらしがなく、妾に子供を産ませた父親がトラウマになっているのかもしれません。
男はつらいよ お帰り 寅さん予備知識まとめ
男はつらいよのエピソードや裏話などはあげればきりがありませんが、初心者でもわかるようにできるだけシンプルにまとめてみました。
とはいっても私たくぞうもファンになりたてほやほやですが・・。
もともとはテレビシリーズだったのですが、最終回で寅さんを殺してしまったことに視聴者から苦情が殺到して、映画「男はつらいよ」がはじまりました。
一作だけのつもりだったこともあり、設定も矛盾してたりしますが、あまりそこにはふれていません。
※寅さんの誕生日や、さくらの年齢、家出の理由、兄の名前と死の原因、などなど、どれが本当なのかわからないことがいくつもあります。
「男はつらいよ お帰り 寅さん」は、満男の目線で、寅さんを思い出しながら物語が繰り広げられます。
満男もこの20年数年で結婚して、娘が出来て、奥さんが病気で死んで、仕事を辞めて小説家になるなど、いろんなことがあったのです。
元恋人の泉ちゃんと偶然再会するわけですが、これまでの寅さんのエピソードなどを交えながら、物語は進みます。
物語もそうですが、それとは別に、男はつらいよの卒業式のスライド写真のように、みんなの思い出が出てくるので、不覚にも涙してしまいました。
最後に
「男はつらいよは人間を描いているから、いつの時代になっても愛される」と誰かが言っていましたが、まさにそんな映画ではないでしょうか。
NHKのドラマ「少年寅次郎」2話で、イタズラした寅たち子供に御前様がゲンコツをして、母光子は大空襲の後で家に帰らなかった寅次郎をビンタする場面がありました。
愛情のこもったゲンコツとビンタも、現代社会では虐待とみなされてしまいます。
人間の本質は変わらないのに、愛情が時代によって虐待と認識されるおかしな社会になってしまいました。
変なクレーマーのために、ゲンコツとビンタの描写をないものにしなかったNHKは評価したいところですね。
いつの時代も人間の本質は変わらないのです。
この記事を読んで、少しでも男はつらいよに興味を持ってくださる方がいらっしゃれば幸いです。